一生懸命ベトナム語で話しかけたのに「 hả??」と言われちゃいました。。
あなたもこんなも経験をしたことはありませんか。本当に心が折れそうになりますよね。がんばって話そうとしているのに通じないって。
でもめげないでください。
コツさえ掴めば、必ず伝わるレベルには、だれでもなれます。
わたしも、ハノイに来た最初の頃、タクシーの運転手に行き先がなかなか伝わらなくて、本当にもどかしい思いをしました。
それでも、毎日ネイティブの発音をよく聞きながら自分の発音の微調整を繰り返し、次第にネイティブに近い音で発音できるようになりました。
この記事ではそんな経験から得た、ベトナム語の発音のコツをみなさんにもシェアしたいと思います。
ぜひ、参考にしていただければと思います。
- 日本語のアクセントに引っ張られない
- 母音の口は、柔らかく大きく開けて
- 二重母音、介母音、半母音をしっかり勉強しなおす
- 有気音と無気音をしっかり区別する
- 語末の子音は絶対に寸止めして
ベトナム語の発音はなぜこんなに難しいか?
ベトナム語の発音が難しい理由を簡単に言ってしまうと、日本語にない音をたくさん使っているからです。
具体的には
- 6つの声調
- 12種類の母音
- 日本語にない語末の子音
- 違いが分かりにくい頭子音
- 複雑な二重母音
しかもこれらの要素を、微妙に使い分け、瞬時に発さなければなりません。
6つの声調
ベトナム語には、6つのトーンがあります。
声調 | 表記 | 意味 |
---|---|---|
thanh ngang 平らな声調 | ma | お化け |
dấu huyền 下がる声調 | mà | 〜のに |
dấu hỏi 尋ねる声調 | mả | 墓 |
dấu ngã 倒れる声調 | mã | 暗号 |
dấu sắc 鋭い声調 | má | ほっぺた |
dấu nặng 重い声調 | mạ | 稲の苗 |
日本語でも「箸」と「橋」のようにトーンが違えば意味が変わる言葉がありますが、そんなに多くはありません。しかしベトナム語はほぼ全ての音節に対し、最大6通りのトーンがあり、それぞれ意味が変わります。さらにこれらを組み合わせると、非常に複雑な組み合わせになります。
声調が間違っていると、相手にとっては別の言葉に聞こえるので、全然理解してもらえない時があります。
日本語にない母音がある
日本語の母音は「 a i u e o 」の5つですが、ベトナム語は「 a ă â e ê u ư o ô ơ i y」、母音は全部で12種類あります。
それだけでなく、発音のルールがイレギュラーな二重母音が3種類あります。また、介母音という、子音と母音をつなぐ、これまた発音のルールがイレギュラーな母音が存在します。
日本語にはない子音
子音も複雑で、頭につける子音には19種類の発音があり、表記の仕方は27種類もあります。
そして頭子音の読み方のいくつかは、北部と南部で読み方が異なるのでさらにやっかいです。
日本語にはない、末子音
日本語の音節は全て「 a i u e o 」の母音で終わりますが、ベトナム語には子音で終わる音節があります。
英語にも子音で終わる音節があり、 “Speed”, “Thanks“ などのように、軽く発音します。ところがベトナム語の場合、語末の子音は発声しない、というルールがあります。
これを末子音といい、10種類あります。(そのうち2種類は半母音と呼ばれています)
なので、ベトナム語は日本語に比べて音楽的な要素が強い言語だと思います。
ピンポイントで狙わなければならない
英語であれば、発音がジャパニーズイングリッシュでも、文法が正確なら意外と通じます。クールな「サムライ・イングリッシュ」と評価してくれる人もいます。
しかし、ベトナム語でジャパニーズベトナミーズはほとんど通じません。音のストライクゾーンがめちゃくちゃ狭く、少しでも外れると違う意味になってしまい、ポカンとされます。
ダーツに例えて言うなら、英語だったら、がんばって的に当てさえすればOKのところ、ベトナム語は絶対に真ん中に当てなければいけない、というくらいの精度が求められます。
そんなの無理ゲー
日本人のベトナム語の発音が通じない理由
ベトナム語の文字の読み方も理解し、ちゃんと発音しているつもりなのに、どうしてこうも通じないのでしょうか。
ベトナム語をカタカナで読んでしまうから
発音がネイティブに通じない理由、それは、一言でいうと、
母語(日本語)の干渉
です。
つまり無意識のうちに、ベトナム語を日本語のカタカナ発音で読んでしまっているということです。
これは物心ついた時から、口の筋肉に染み付いているためで、なかなか抜けません。それでベトナム語を発音するときも、どうしても「カタカナ読み」になってしまいます。
実はこの悪しき習慣は、ベトナム語テキストが創り出しています。
多くのテキストでは、ベトナム語の例文に初心者のために「カタカナのルビ」が振ってあります。
最初の手がかりとしてこれは、いた仕方がないかもしれませんが、会話文全てにカタカナが振ってある教科書がよくあります。
カタカナが振ってあると、ベトナム語を見ても自然にそれを日本語の発音で変換してしまい、日本語の音でインプットしてしまいます。
ベトナム語は日本語の50音だけで、発音することはそもそも不可能なのです。
ベトナム人講師は、日本語話者の苦労をよく理解していない
ベトナム語レッスンが、つまらない理由の一つは、ベトナム人先生の発音指導が厳しくてついてこれないというところにもあります。
ベトナム語が母語である人は、自分がなぜその音を発音できているのかを、理解しているわけではありません。母語だから無意識でできてしまうのです。
だから、「 あ じゃなくて a です! e じゃなくて ê です!」とどれだけ言われても、日本人にはとうてい理解ができない世界なのです。
逆に、ベトナム語が上手な日本人に聞いた方が日本語とベトナム語の音の違いを理解しているので、発音のためのアドバイスを上手に言語化してくれるかもしれません。もしそのようなお知り合いがいれば、その方に一度相談してみてください。
「アーキヴォイス」では、「いちばんやさしい 使えるベトナム語入門」の著者、木村友紀さんがベトナム語レッスンの講師をされています。
興味のある方はぜひ一度、体験レッスンを受けてみられてはいかがでしょうか。
アーキ・ヴォイス体験レッスンはこちらから申し込めます先生が褒めすぎる
もう一つの原因は、先生や交流相手のベトナム人が「上手ね」と褒めすぎることです。
どんなにカタカナ読みをしても、周りのみんなはお世辞で「上手です!」と言ってくれます。
さらに若い人は勘がいいので、外国人のベトナム語が少々変でも、理解してくれようとします。
しかしそれで勘違いしてしまって、実際には「間違った発音」が身についてしまっているのに、自分ではそれに気づくことができません。そのため正しい発音を身につける機会をずっと逃してしまうという結果になります。
確かに毎回毎回、細かく注意するのは生徒にも先生にとっても、お互いあまり気分がいいものではありません。だからレッスンでは、だんだん注意してくれなくなります。先生や周りの人たちも、間違った発音にもだんだん慣れてしまい、裸の王様状態になってしまいます。
そんな環境にいると、一度染み付いてしまった「カタカナベトナム語」は抜けなくなり、先生以外のネイティブに「 hả?」と言われる屈辱を受けるわけです。
これが、ベトナム語レッスンを受けている日本人の発音が良くならないもう一つの原因です。
日本人が知っておきたいベトナム語発音5つのコツ
わたしが、これまで日本人の話すベトナム語をたくさん聞いて気づいた点を5つピックアップします。
これらの弱点を克服することがベトナム語発音のコツになります。このコツを押さえることで、あなたのベトナム語発音のセンスはグッとよくなるでしょう。
コツ①日本語のアクセントに引っ張られない
1つ目のコツは、日本語のアクセントに引っ張られないという点です。
実は日本語にはいろんなアクセントがあって、特に外来語を読むとき、日本人は決まったパターンのアクセントを身につけています。そしてそのアクセントを無意識のうちに「気持ちい」と感じています。
このように、ベトナム語を読むときも、ここにアクセントを置くと気持ちがいいという日本人ならではのポイントがあり、それがベトナム語の発音に干渉しています。
以下の点によく気をつけてください
Thanh nặng(重い声調)を、高い声で発音しているケース。強く、押さえつけるように言おうとするあまり、逆に音が跳ね上がっている人が多いです。
“ Học ” など、「ホック!」と「ホ」に強くアクセントがきます。そのほうが、日本人にとって気持ちがいいからです。
Thanh ngang(平らな声調)が低すぎるケース。ベトナム語で記号のついていない真っ直ぐの声調は、普通の音より高いところから、真っすぐ伸びていかなければならない声調です。ところが低めに発音してしまってる人が多いように感じます。割と上の方でスカーンと出してください。
やたらと Thanh hỏi(尋ねる声調)になるケース。本人はいたって、声調をつけているつもりなんですが、全部の発音が波がうねるようなアクセントで、あれは聞いていて酔いそうになりました。
最初の音節にアクセントを置きたくなる衝動。重い声調が最初に来る場合、その音節にアクセスを置きたくなる衝動を我慢してください。
例: một hai ba! / Hẹn gặp lại
同じ声調が続くのを我慢して。上記の Hẹn gặp lại のように、同じ声調が続く語彙がある場合、勝手にアクセントをつけて話す人がいます。同じ声調が続くと気持ち悪いですし、自分の思っている高さと逆にしなければならないケースもありますが、我慢して矯正しましょう。
まだ、いっぱいあると思いますがまた思いつけば追記します
コツ②母音の口は、柔らかく大きく開けて
母音の口が堅い。これは、学習を始めた頃にわたしがさんざんネイティブに指摘されたことです。
例えば、「 a 」と日本語の「あ」は少し違います。思っている以上に口を開けなければなりません。
あと、 “ ê ” と “ e ” の違いが出せていない人がほとんどです。 “ ê ” は日本語の「エ」とほぼ同じなので、問題ないですが、 “ e ” を “ ê ” でいってしまうと、これがまた意味が通じません。傘の付いていない “ e ”は自分が思っているより、もっと口を開かなければなりません。
3種類の “ o ”、 “ ô ”、 “ ơ ” が全部同じ音になっている人も多いです。例えば、 Tôm=海老 Thơm=女の人の名前 はどちらもカタカナで読むと「トム」ですが、Thơmさんと呼ぼうと「チ トム オーイ」といっても、振り向いてくれません。
コツ③二重母音、介母音、半母音をしっかり勉強しなおしてみて
ここで詳しくは書きませんが、この二重母音、介母音、半母音というのが、超やっかいでして、普通にローマ字のとおりに読みません。
ほとんどの人が、そのまま素直に読んでいると思いますが、実はネイティブはイレギュラーな発音をしています。
全部カタカナ書きしてテキストで勉強すると、実際のネイティブの発音と、頭にインプットされてしまった音との間にずれが生じてしまうことになります。実際、それで通じないことがよくあります。
それでも、二重母音、介母音、半母音のルールを意識すれば、驚くほどネイティブに近い発音になりますので、ぜひ皆さんも、もう一度整理してチャレンジしてみてください。
コツ④有気音と無気音をしっかり区別して
“ T ”と“ TH ” の音をしっかり区別しましょう。
“ T ”は日本語のタ行に近い音で、息がもれない無気音です。一方、“ TH ” はアタックの強いタ行で、息がもれる発音になります。
わたしも、人の名前を呼んで指示を出さなければならないときに、「 Tầnさん」と「 Thânさん」と「 Thànhさん」と「 Thắngさん」や「Tấnさん」。どれもカタカナでは「タンさん」になりますが、発音が不明瞭だったため、「どのタンさんだ!?」と場を混乱させてしまったことがあります。
コツ⑤語末の子音は寸止め
ベトナム語の発音のルールで「語末の子音は発音する準備をして、出さない」というものがあります。
しかし日本語には子音で終わる音節はないので、「ヴィエットナーム」のように、全部発音したくなります。
また日本語にはすべての子音に母音が付くので、そのクセでつい、語末の子音にも母音をつけて読んでしまっている人が多いです。
これが、日本人の発音で一番多い特徴です。ベトナム語の末子音は、その音を出す準備だけして、その口の形の状態で、音を出さない、という鉄則を守りましょう。
例えば、
“Hôm nay tôi học tiếng Việt.” の場合、
「ホムナイ トイ ホック ティエン ヴィエット」
と読んでいないでしょうか?
この場合、 “Hôm nay” の “ m “と 、“ học”の “c” と、 “ Việt ”の “ t ”は実際には発音しません。カタカナ風に書くと
「ホン(m)ナイ トイ ホッ(c) ティェァン ヴィエッ(t)」になります。
まとめ
ネイティブにベトナム語の発音が通じにくい理由
- 母語である日本語の干渉を受けてしまっているから。そのため、日本語にはない音も、カタカナ読みをして、日本語の口の形で発音してしまっている。
- 日本語ふうのアクセントの影響を受けて、声調音痴になっているという問題もある。
- 発音のルールをもう一度おさらいして、カタカナ読みをやめるべし
- ネイティブに、自分の発音のどこが間違っているかを指摘してもらい、ひたすらモノマネをして、だんだんネイティブの口に近づけていこう!
大変な道のりですが、あれこれ理論で考えず、とにかくネイティブのモノマネをするぐらいの感覚で、発音していけば、必ず通じるレベルには到達できます!
めげないで、ともに頑張りましょう!
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