あなたはベトナムのフォーを食べたことがありますか?
フォー(ベトナム語: Phở)とは、ベトナムを代表する麺料理、ベトナムの国民食です。
最近日本でも、ベトナム料理店が増え、フォーの知名度が上がってきました。スーパーでもインスタントのフォーを見かけます。
でも初めて食べたとき、
「ん、おいしい…かな? まあ、こんなもんか…」
こんな感想だったかもしれません。
実は私もそうでした。本場のフォーを食べるまでは。
私は初めてハノイの老舗 Phở Thìn(フォーティン)の牛肉フォーを食べたとき、今までの観念がくつがえるほどの衝撃を受けました。
「フォーってこんなに美味しかったんだ!」
残念ながら、日本で食べられるフォーは、日本向きにアレンジされているのもあり、食材も現地のものが使われていないため、味にパンチがありません。
「ベトナム料理店」が出すフォーでもオーナーが南部や中部出身だと、味も本場のハノイとはかなり異なります。
フォーはハノイが一番美味しいです。
そう、私が強く主張したいのは、
フォーはぜひ本場のハノイで食べてみて!
ということです。
本記事では、ベトナムのフォーとは一体どんな料理か、フォーについてあまり知らない方のために、フォーの本場ハノイ在住の筆者が「フォーの魅力」についてたっぷり語っていきたいと思います。
少しのお時間、ぜひお付き合いいただければ幸いです。
\ そうだ、ハノイへ行こう/
そもそもベトナムのフォーとはどんな料理?
ベトナムの「フォー」とは、米粉で作った柔らかい麺に、牛骨(または鶏骨)と野菜を煮込んで取った熱々スープをかけて出される、ベトナムを代表する麺料理です。
フォーには大きく分けて2種類あります。
1つは、牛肉フォーで、具材には薄切りにした牛肉とネギやパクチーなどがトッピングされます。
もう1種類は鶏肉のフォーです。こちらは鶏を丸ごと煮込んで出汁を取ります。煮込んだ鶏は部位ごとに細切りに叩き切り、そのままフォーの具材になります。
スープは意外としっかりした味で、あっさりした見た目の中にもコクがあり、エスニックな独特の良い風味がします。フォーはベトナムの国民食としてベトナムの人々に愛されています。
フォーの麺の特徴
フォーはよく「ベトナム風うどん」のように紹介されることがありますが、実は麺の原料は小麦ではなく米粉です。
フォーは、薄い平打ち麺で、ものすごく柔らかくコシがない食感です。
フォーの麺の作り方は、米粉を水で溶いたものを、さっと蒸してクレープ状にし、麺の形に細く切り分けます。
乾麺と生麺タイプがありますが、ほとんどの店では生麺を使っています。
フォーの麺は「茹でる」というより、さっとお湯にくぐらせるだけで、すぐにどんぶりに揚げます。どんぶりにあげた麺の上に具材の薄切り牛肉とネギ、パクチーを載せ、その上から熱々のスープをかけて提供されます。
フォーは朝ごはんとしてよく食べられる
ベトナムでフォーは朝、昼、晩、提供されていますが、主に朝ごはんとして食べられています。フォーの店は、早朝 6:00ぐらいから開いており、朝の 7:00~9:00ぐらいがお店のピークです。
もちろん、ランチに食べる人やその日の気分によって夕食として食べる人もいます。
フォーの本場はハノイ
フォーはベトナム全土で食べられていますが、発祥はベトナム北部とされていて、首都ハノイがフォーの本場になっています。
ホーチミンでもフォーが食べられていますが、ホーチミン在住者もやはりハノイのフォーは美味しい、という意見で一致しています。
ベトナムでフォーの値段は?
2023年時点で、ベトナムのローカルな店で、フォーは一杯3万5000ドン(200円)〜5万ドン(300円)ぐらいが相場になっています。
日本のベトナム料理店では、フォーは一杯800〜1000円しますが、ベトナムではまだまだ安く食べられる庶民の価格です。
しかし、ハノイ市内でも人気のフォー専門店では、一杯7万ドン(420円)ぐらいまで値上がりしています。
私がハノイに住み始めた2015年当時、フォーは一杯3万ドン(当時のレートで150円くらい)が相場でしたから、だんだん物価が上がっているのを実感します。
ベトナムでフォーの値段は一杯250円ぐらい
フォーの食べ方
フォーはそのままでももちろん美味しいですが、テーブルに置いてあるライムを絞って、ニンニク酢やチリソースなどを加えて味を自分の好みに整えて食べるのがベトナム流です。
ライムは、レンゲの上で絞って、種がスープの中に入らないように入れるのがコツです。
ベトナム人は、麺は一度レンゲの上に載せてから食べます。
そばやラーメンのようにズルズル啜って食べると、目立つので静かに食べましょう。
追加のトッピング
追加トッピングで quảy (クアイ)という揚げパンと一緒に食べるのもおすすめです。
フォーだけだとちょっと物足りないので、揚げパンをスープの中でふやかしていただくとちょうど良いボリュームになります。
また、私の個人的おすすめトッピングは卵です。
途中で卵を崩して味変させると、スープがまろやかになって美味です。
Phở(フォー)の種類
フォーの2大巨頭は「牛肉フォー(フォー・ボー)」と「鶏肉フォー(フォー・ガー)」です。
元々の発祥はフォー・ボー(牛肉フォー)と言われていますが、フォー・ボーと並んで人気があるのが「フォー・ガー(鶏肉フォー)」です。
さらに、調理の仕方、入れる具材などによって無数のフォーが存在します。
よくある代表的なフォーの種類
- 牛肉フォー
- 鶏肉フォー
- 焼きフォー
- フォーのタンメン
- ビーフシチューのフォー
- 馬肉のフォー
【Phở Bò】フォー・ボー(牛肉フォー)
フォーの定番、フォー・ボーです。
フォーの店に入ると、メニューがずらっと書かれていますが、これは牛肉の部位と牛肉の茹で具合を書いたものになります。
例えば、「薄切りのミディアム」「スジ肉」といった具合です。
牛骨と野菜でとった出汁がベースのスープは基本的にはあっさり味ですが、コクもあって旨みが凝縮されています。スープにはアクセントとなるシナモンのかけらも一緒に煮込まれていて、絶妙なハーモニーを醸し出します。
ハノイでオススメの牛肉フォーは、 Lò Đúc通りの PHỞ THÌN がイチオシです。美味しいハノイのフォーをどこで食べたら良いか迷ったら、とりあえずここにしておけば間違いありません。
【Phở Gà】フォー・ガー(鶏肉フォー)
フォー・ガーは鶏ガラでとったスープがベースのもう一つの定番フォーです。こちらもめちゃくちゃ美味しいです。フォー・ガーの方が好きだという日本人も多いです。
フォー・ガーは丸ごと地鶏を豪快に寸胴で煮込んで出汁を取りますが、たっぷり茹でられた鶏肉がそのまま具材になり、こちらも肉の部位でメニューが分けられます。細切りにした新鮮な地鶏は、プリプリの食感で旨みたっぷり。
こちらのアクセントとなるのは、ネギと共にトッピングされる糸切りにしたレモンの葉。鶏肉と一緒に噛むと、旨みと香りが口の中でぎゅっと滲み出します。
筆者一押しのフォー・ガーは Kim Mã 通りの A Tràというお店です。新鮮地鶏と自家製麺で人気のお店です。
【Phở Xào】フォー・サオ(炒めフォー)
こちらはフォーの焼きそばです。フォーを中華鍋の中で牛肉と野菜と炒め、フォーのスープと調味料で味を整えます。好みに合わせて、醤油やチリソースを加えながらいただきます。こちらもフォー屋の定番メニュー。フォーのスープがオプションでついてきます。
気分的にフォーよりガッツリ食べたいな、という昼時や晩のメニューで食べることが多いです。
【Phở áp chảo】フォーのタンメン
こちらはハノイでたまに見かけるメニューで、牛肉の野菜炒めを具にした、フォーのタンメンです。結構ボリュームがあってたまに食べたくなります。
Phở áp chảoとは「フライパンで炒めたフォー」という意味で、同じ名前のメニューでも、麺が揚げ麺、かた焼きあんかけそばのようなスタイルで出されることもあります。
【Phở sốt vang】ビーフシチューのフォー
こちらは、ビーフシチューのように柔らかく煮込んだ牛肉の角煮がトッピングされます。
普通のフォーに牛肉の角煮を具として乗せただけのものと、スープにもしっかり煮汁の味が染み込んだものと、店によってテイストが異なります。
ビーフシチューのフォーに関しては、ホーチミンのフォークインは絶品で、シチューのようなスープに厚切り牛の煮込みが、これでもかというぐらいトッピングされます。
ハノイでは旧市街の Phở Lùnが絶品で、私も何度もリピートしています。
馬肉のフォー
これは一般の店にはほとんど出回っていませんが、少数民族のお祭りの屋台で出されたものです。特にこれといった印象はなく、おいしくもまずくもない、といった感想でした。
ベトナム語でフォーの発音は?
ここでベトナム語の話も少ししておきましょう。
ベトナム語で「フォー」は Phở と書きます。
実は、この単語、発音が非常に難しいです。
ちなみにこれは私の妻の発音、若干なまっています(汗)
ベトナム人が「Phở」と発音しているのを、おそらく最初は聞き取れないと思います。
日本人の耳には「フー」とか「ファー」に聞こえます。
また普通に「フォー」と発音しても、音もアクセントも全然違うため、ベトナム人には通じません。
Phởは最も有名なベトナム語でありながら、実は発音が相当難しい日本人泣かせの単語です。
Phởのあとに、具材や肉の部位をつけて表現する
ベトナム語では、修飾語は名詞の後につきます。
Phở Bò(フォー+牛肉)
Phở Gà(フォー+鶏肉)
Phở Tái(フォー+半生の薄切り牛肉)
Phở Chín (フォー+火の通った薄切り牛肉)
Phở Gầu(フォー+胸のあたりの牛肉)
Phở Bắp (フォー+牛すじ肉)
Phở Gà Lườn(フォー+鶏胸肉)
お土産に買いたいインスタントのフォー
日本でフォーの雰囲気を味わうために、お土産でインスタントのフォーを買っていきたい方もいるかもしれません。
そんなあなたにオススメの、スーパーで買える美味しいインスタントのフォーを2つご紹介します。
オススメ1位 CHIN-SU PHỞ BÒ
インスタントのフォーで一番美味しいのはCHIN-SUというメーカーの Phở bò です。
スープの味もかなり本物に近く再現されています。
ハノイのフォーの雰囲気を友達や家族に伝えるにはぴったりのお土産です。
ちなみにCHIN-SUからは、フォー以外にもベトナムの様々な麺が出ているので、他の麺も合わせて試してみてはいかがでしょうか。
フォーではありませんが、こちらの「バインダークア」というカニの麺も美味しいので試してみてください。
オススメ2位 Hoàn Gia PHỞ THỊT BÒ
インスタントのフォーオススメ第2位はこちらのHoàn Giaというメーカーのフォー・ボーです。
CHIN-SUが出る前は、こちらが私の中でインスタントのフォー第1位でした。
CHIN-SUと比べると、こちらの方が若干レベルは落ちますが、CHIN-SUより安いので私は普段買いだめする時はこちらを買います。
冷蔵庫に何もない時や、コロナの自粛期間などこちらのHoàn Gia のフォーにはお世話になりました。
フォー・ガーもありますが、具がショボいのであまりオススメしません。でも、味は美味しいです。
まとめ:本場のフォーを食べにハノイへ来るべし
今回はフォーについての概要をざっとお伝えしました。
ハノイに住んでいて良かったなと思う瞬間は、近所に美味しいフォーの店があることです。
日本にもフォーのお店はありますが、やっぱり別物だなと感じてしまいます。
日本のフォーしか知らない人にはぜひ一度、ハノイで本場のフォーを食べてもらいたいです。
でもフォーはあくまでも庶民の料理で、ベトナムのソウルフードです。そんな豪華なものではありません。
店によって味もピンキリです。
また別の記事でハノイに来たらぜひ食べてもらいたい、「オススメのフォーのお店」をランキング形式でお伝えしたいと思います。
さらにベトナムはフォーだけでなく、麺料理の種類がそれは本当に多彩で、他にもたくさんオススメの麺料理があります。またの講釈でお伝えしたいと思います。
ぜひ、みなさん一度ハノイへ遊びにお越しの際は、ホテルで朝食を取るのではなく、街へ飛び出してローカルの美味しいフォーをぜひ堪能してみてください!
\ そうだ、ハノイへ行こう/
\ タクシーより安い! /
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