初心者向けのベトナム語の始め方【ゴールから手をつけろ】

ハノイのタイベオです。2015年からハノイに移住して、国際結婚しています。現在はベトナムのローカル企業に勤め、毎日チームとベトナム語だけでコミュニケーションを取っています。

以前はベトナム語を勉強する人など周りにほとんどおらず、珍しがられていましたが、最近は、ベトナム語を勉強したいという同志が増えて嬉しく思っています。しかし、途中で挫折する人も多いので残念に思います。

さて、ご存知のようにベトナム語は学習リソースも少なく、発音も非常に複雑なため身につけるのが極めて難しい言語です。一体どこから手をつけたらいいんだろう、と立ちすくむ方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事は、ベトナム語学習の先輩として、これからベトナム語を勉強してみたいというベトナム語初心者の方に向けて、無理せず楽しくベトナム語を身につけるのに役立つアドバイスをお届けしたいと思います。

この記事を読むと、ベトナム語を無理なく楽しく続けられるよう、背中を後押ししてもらえます。

これは実際に私が、ベトナム語の初心者が挫折しているのを見て感じたこと、また私本人がベトナム語を始めたての頃に実践して良かったことです。

初心者はまずはここから！ベトナム語の始め方

正攻法でいくと、まずはベトナム語のアルファベットの読み方を習って、母音、子音の発音の特訓をして、声調を特訓して・・・と発音の基礎をやっていくわけですが、人によっては、これは正直つまらなく、ただただ苦手意識を高めるだけのネガティブな要素満載です。

特に、いきなりネイティブとのレッスンでくどい発音指導を受けてしまうと、ダメ出しの嵐で嫌になってしまいます。

なので、発音の基礎は一旦置いときましょう。

私がベトナム語の初心者にあえて提唱するのは、

この3点です。

まずはここから手をつけてみて下さい。

初心者こそいきなりフレーズを覚えて会話しよう

ベトナム語初心者にまず手をつけて欲しいのは、

簡単なベトナム語フレーズをいきなり覚えてしまうこと

です。

どうやって覚えるかというと、耳からひたすら音をインプットし、聞こえたままにモノマネするというやり方です。一つのフレーズであれば100回も聞けば、覚えようとしなくても自然に覚えてしまいます。

考えなくてもいいです。ひたすらインプットします。でもちょっと根気が要ります。

本で覚えてもいいし、Youtubeで覚えてもいいし、周りのベトナム人にスマホに吹き込んでもらってもいいです。

例えば、

など、すぐに使えるごく簡単なフレーズを、理屈抜きに音声を聞いて、聞こえたままを真似してみて下さい。

そしてそれをすぐベトナム人に使ってみましょう。

こうすることで、ベトナム語が通じる面白さを最初に体感でき、「楽しい！」と思うことができます。

ベトナム人からも「すごい、ベトナム語上手ですね！」と褒められ、小さな成功体験が得られます。これは本当に強調したい点ですが、外国人に通じる、という体験は外国語の勉強を続ける上でモチベーションになります。

聞く単語、キクタン

間違っても、いきなり単語の暗記や文法の勉強などしないでください。いや、元々多言語学習が趣味だという人はしてもらっても全然構いませんが、普通の人がやると割と早めに挫折すると思います。

言語はあくまでコミュニケーションのツールであって、学習が目的ではありません。目的は外国人とコミュニケーションが取れることです。また、相手の言ってることが理解できるようになることです。

ことに、ベトナム語は発音が難しい言語なので、会話を覚える前に発音の基礎だけで挫折してしまいかねません。

なので、ベトナム語初心者の方はまずはいきなりゴール（ベトナム人との会話）から始めてみましょう。

ベトナム語のしくみを知ることは近道

次に私が初心者の時に個人的にやって良かった点は、

ベトナム語の全体像、「ベトナム語のしくみ」を理解すること

です。

この点で私が特に良かったのは、その名も「ベトナム語のしくみ」という本です。

これは語学出版でお馴染みの白水社が出している「言葉のしくみ」シリーズのベトナム語版で、田原洋樹先生が書かれています。

この本は、いわゆるテキストではなく、まったく未知の外国語の構造が、だれにでも無理なく理解でき、最後まで寝ながら読み通すことのできる画期的な入門書です。「文法」とではなく「しくみ」と表現されているので、より親しみやすく感じます。

田原先生の耳障りの良い独特の語り口で、読者と一緒にベトナム語のしくみを発見していき、最後にはベトナム語の全体像を大づかみに理解できる、そんな構成になっています。非常に読みやすく面白い読み物です。

ベトナム語だけでなく、ベトナムの生活や文化についても紹介されていて、これも言葉を理解する上でとても重要な一面です。

さらに、この本で個人的に役に立ったのは、発音に関する説明がとてもわかりやすい点です。6つ声調や母音の口の開け方、閉じ方など私は、一番最初にこの本で身につけました。

何でもいいからベトナム語テキストを1冊やり切る

かんたんなフレーズを覚え、ベトナム語の概要がわかったら、今度は市販のテキスト、もしくはオンラインレッスンの教材を一つ、最後までしっかりやり切って下さい。これには半年くらいかけます。

どんな教材・本にも必ず

• 文字や数字の読み方
• 発音の基礎
• 基本的な文法
• 簡単な会話
• 音声CD・DLファイル

といった、ベトナム語を身につける上で欠かすことができないものが含まれています。

1冊テキストを買うことで、初級の範囲を網羅することができます。

教材は、自分に合ったものを選んでください。

やさしくてわかりやすいです

大事なのは、頑張ってとにかく1冊やり切ることです。1冊やり切ると、初級の知識はある程度身につきます。

この「やり切る」というところがなかなか大変でして、最初の3課ぐらいまでは割とスイスイ行くんですがその後のモチベーションを維持するのが挑戦になります。

ただこの記事は「どこから手をつけるか」を紹介することが目的なので、モチベーションの保ち方に関しては、また別の講釈でお話ししたいと思います。

タイベオが選ぶ初心者向けベトナム語の本おすすめ【5選】

さて、本屋、Amazonを覗くと初心者向けのベトナム語の本がたくさん並んでいます。私も最初の頃ベトナム語関係の本はずいぶん買っては試したものです。

そんな、新しいベトナム語テキストは必ずチェックし、40冊以上ベトナム語関連の蔵書がある私が、初心者が無理なくベトナム語が身につけられるおすすめの本をピックアップしてご紹介します。

ベトナム語を始めるのに、オンラインレッスンを申し込んで習うこともできますが、自分で本を買って独学で勉強することも十分可能です。Youtubeを見て勉強している人も多いと思いますが、Youtubeの場合、文字が次から次へと流れていき、意外と頭に残りません。しかし、本だと手元にスクリプトがあり、目で繰り返し確認できるので学習効果がより高まります。

そんな私がベトナム語初心者におすすめする本・テキストを厳選してご紹介します。

いちばんやさしい 使えるベトナム語入門

この「いちばんやさしい 使えるベトナム語入門」は、2020年に発行された比較的新しいテキストで、文字通り「一番やさしい」かもしれません。

著者の木村先生は、自身もベトナム語の講師をされていて、教える側と学ぶ側の両方の立場から、わかりやすい構成で書かれているのが特徴です。字が大きく見やすいですが、その分、ボリュームはやや少なめで入門の範囲に留まっています。

しかし基本的な会話は大体抑えられているので、十分活用できます。

他の記事でもこの本を紹介していますが、このサイトからダントツで一番売れています。

ちなみに著者の木村友紀先生は「アーキ・ヴォイス」という語学教室で、オンラインベトナム語レッスンの講師をされています。もし、木村先生のレッスンを直接受けてみられたい方は、ぜひ体験レッスンを予約してみてください。
アーキ・ヴォイス体験レッスンはこちらから申し込めます

もし、最初の1冊をどれにしようか迷ったらこの本はおすすめ

キクタン ベトナム語【入門編】

超初心者の入門フェーズでおすすめは「キクタン」シリーズのベトナム語【入門編】です。耳から言葉を覚えられるので、初めのとっかかりにぴったりです。

この本は他に1冊もベトナム語テキストのない方にはおすすめです。すでに、何がしかのベトナム語関連の本をお持ちの方は、特に真新しい内容はないのであえて買う必要はないかもしれません。

チャンツのリズムに乗せて、ベトナム語→日本語の順で聞こえてくるので、聞くだけで単語の発音と意味が同時にインプットできます。

この入門編では日常会話でよく使われる表現・語彙が432収録されています。後で必要になる基本的な文字の読み方や声調、母音、子音の発音も耳から覚えることができます。

ちなみにここだけの話、音声だけならアルクのホームページから無料でダウンロードできてしまいます。「ダウンロードのお申込みはこちらから」→「諸外国語」→「キクタン　ベトナム語会話【入門編】」へ。
でも、本があったほうが断然いいと思います。

ゼロ初心者におすすめ

ある程度ベトナム語の知識がある方は「会話入門編」がおすすめ

ベトナム語のしくみ

こちらは、先ほど紹介したばかり「ベトナム語のしくみ」です。いわゆる「テキスト」ではありませんが、とても読みやすく、ベトナム語の全体像と、ベトナムの文化を外観できるので、ベトナム語をこれから始めようという方にはぜひ読んでもらいたい1冊です。

「勉強する」という感覚ではなく、楽しんでベトナム語の知識が身につけられるのがこの本のいいところです。

発音するときの口の開け方の説明などもわかりやすく、私は個人的に初心者の時にこの本にはずいぶんお世話になりました。

図書館で借りてでもいいのでぜひ一度読んでみて下さい

つながるベトナム語会話

こちらも、「ベトナム語のしくみ」の田原洋樹先生の著書です。2022年に出たばかり、界隈では最も新しいテキストで、今までありそうになかったところをついた、非常にユニークな本です。

「ベトナム語のしくみ」と同じようなテイストになっており、終始、読み物のような語り口調で、テキスト臭さが全くない本です。さまざまな場面で使われる会話表現へ読者を誘います。「しくみ」や「文法」ではなく、会話表現にフォーカスしています。

Xでもベトナム語学習者には評判がいいですね。

「つながるベトナム語会話」読了🤗
「会話」に焦点が当てられているので、会話力を身に付けたい今の私にピッタリ😊
自然な言い回しや、語気詞、相づちなど、SNSでも活躍しそうです👍
会話なので、「聞き取り出来て話せる」が前提ですけど😅
相変わらず「酒」の話題は熱量多めですね😅#ベトナム語 pic.twitter.com/08KfoMRMo5

— yasshu (@yasshu40008438) September 4, 2022

面白いのはベトナム語のテキストでは珍しく、北部発音以外に、南部発音、中部フエの発音まで収録されている点です。音声だけなら白水社のホームページから無料でダウンロードできます。

主に、日本に住んでいるベトナム人との会話場面にスポットが当てられているのも特徴的です。日本でベトナム人と会話したい、というニーズをお持ちの学習者には、会話のトピックなどもぴったりだと思います。

ベトナム語で会話できるようになりたい人におすすめ

ニューエクスプレスプラス ベトナム語

最後は、語学テキスト界の老舗、ニューエクスプレスシリーズの最新版、ニューエクスプレスプラス ベトナム語です。

会話も文法も語彙もガッツリ盛り込まれていて、ボリューム満点な教材です。他の言語でも培われたノウハウと長年の経験が活かされポイントがしっかり押さえられて、独学で語学を学ぶのに慣れている人にはおすすめです。

今回この記事を書くのに改めて読み直しましたが、細かいところまで網羅されてあって、この1冊をしっかり勉強すれば初級のレベルはかなり身につくのではないかと思います。

会話の内容は、ベトナムでの会話場面が設定されており、ハノイに住んでいて実際によく聞く言い回しなどが紹介されていて好感が持てます。

語学の「勉強」がしたい人におすすめ

ベトナム語を挫折しないためのマインドセット

余計なお世話と言われるかもしれませんが、まず、なんのためにベトナム語を勉強したいのか、という目的を考えてみて下さい。外国語の学習で一番大切なのは、「何のために勉強するのか」という動機です。

ただ、ベトナム語の「学習」「勉強」というと、どこかネガティブなイメージがあるので、日常生活で忙しくなると、割とすぐに嫌になってしまいます。

しかし、ベトナム語を習得する動機が強い人、言い換えるなら、どうしてもベトナム語を身につけなければならない理由のある人は早く結果を出します。

• 恋人の母語だから
• ベトナム人へのボランティアでどうしても必要
• そもそも外国語を学ぶのが趣味に近い
• 日本に来ているベトナムの若い子たちと仲良くなりたいから
• 旅行で現地の人と交流したい
• ベトナム現地でベトナム語しか使えないサバイバル環境にいる

など、いろいろな「理由」があると思いますが、このどれもが本人にとっての強い動機になります。

この動機が強ければ強いほど早く上達します。

逆に動機が弱いと、簡単に飽きてしまいますので、まず、自分のモチベーションは何か考えておくようにして下さい。

ベトナム語は、あくまでもコミュニケーションのツールです。学習はその手段です。手段が目的にならないよう、気軽に考えて下さい。最初は、下手でも失敗しても構いません。

何より、ベトナム語がだんだんわかっていく過程を楽しめるようになれば一番理想的です。「楽しむ」のが一番の外国語習得のコツです。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、ベトナム語の勉強が「好き」になれば、自ずと上手くなっていきますよ！

まとめ

この記事では、ベトナム語の初心者が無理せずに楽しく学べる方法と、初心者向けのおすすめのベトナム語の本をご紹介しました。

私が、ベトナム語の初心者に提唱したいのは以下の3つの点です。

ベトナム語の初心者におすすめの本5選はこちらです。

書名
オススメ度	とても良い	ゼロ初心者	とても良い	良い	良い
音声DL
網羅性	入門	超入門	外観	会話に特化	充実
会話	基本的	少ない	例文だけ	実践的	普通
使いやすさ	わかりやすい	聞くだけ	読みやすい	実際的	独学向き
	詳細	詳細	詳細	詳細	詳細

ベトナム語を身につけるいちばんのメリットは、自分の世界が広がることです。

まずは簡単なフレーズを覚えて、気軽にベトナム人とコミュニケーションをとってみて下さい。楽しいですよ！