ベトナム語の初心者ですが、ベトナム語の辞書ってやっぱりあったほうがいいんですか?買おうかどうか迷っています。
ベトナム語を勉強中のあなたも、こんな疑問を持ったことはありませんか?
わたしたちは中学や高校で英語を勉強するとき、
英和辞典や、和英辞典などを教材として買わされたと思いますが、
どうでしょうか?みなさんどのくらい辞書を使われましたか?
実際に使う機会はあまりなかったかもしれません。
では、ベトナム語の勉強に辞書は必要でしょうか?
この記事では、
- ベトナム語が上手になるのに辞書が必要か?
- ベトナム語の勉強に辞書を使うことのメリット
こういった点について掘り下げていきます。
最後まで読んで、参考にしていただければと思います。
ベトナム語独学歴14年の筆者が、ベトナム語を勉強する中で、どのように辞書が役立ったのかについて、シェアします。
- ベトナム語の辞書(辞典)を買おうか考えている
- いつまでベトナム語を続けるかわからない
- ベトナム語の初級程度の知識はあるが、その後伸び悩んでいる
- とにかくベトナム語がスラスラ読めるようになりたい
ベトナム語が上手になるのに辞書は本当に必要か?
言語の習得には「聞く・読む・書く・話す」の四技能が関係してきます。
ベトナム語の勉強をされている方のほとんどが、
ベトナム語を使って自由に会話がしたい
というニーズがあって始められたのではないでしょうか。
その場合、
辞書がなくても、ベトナム語はある程度話せるようになります
外国語を、ネイティブ並みにペラペラ話す人の特徴について考えたいと思います。
ベトナム語で「話す」「聞く」を伸ばすにはサバイバル環境が必要
まず、母語について考えてみましょう。
子供はどのように言語を習得していくのでしょうか。
ベトナムの子どもたちは、辞書を使いませんが、ベトナム語を話せるようになります。
わたしたちもそうです。
国語辞典がなくても、日本語はペラペラに話せます。
子供は、お母さんや周りの話す言葉を聞いて真似することによって、自然に言葉を話せるようになります。
日本語がペラペラな外国人力士
以前から、ハワイや、モンゴルを筆頭に多くの外国出身の力士が番付に名を連ねるようになりました。
小錦、曙、朝青龍、白鳳など、流暢にインタビューに答えているのをご覧になったことがあると思いますが、
歴代の外国人のお相撲さんがあれだけ流暢に日本語が話せるようになるのを不思議に思われたことはありませんか?
彼らは、日本語学校へ通ったわけでも、辞書を使ったわけでもありませんが、
おかみさんや親方、兄弟子の話す日本語を見様見真似で話し、間違いがあれば、必死に正しい日本語を覚えてアップデートしていきます。
その後、後援者やタニマチと話したり、カラオケを覚えていくうちに、自然と日本語を身に着けていきます。
しかし、そうやって身につくのは言葉の4技能【話す・聞く・読む・書く】のうち
「話す・聞く」のみです。
「読む・書く」といった技能は、勉強して始めて身につくものです
興味深いことに、あれだけ日本語が堪能な外国人力士たちも「読む・書く」が全然できないそうです。
それでもし、あなたのゴールが、
ベトナム語で「聞く」・「話す」を伸ばしたい、というのであれば、
ベトナム語で聞いて話さなければならないサバイバルな環境に身を置くことが近道です
ベトナム語で「読む」「書く」を伸ばすのには辞書が必要
一方、ベトナム語での「読む」・「書く」を伸ばしたければ、
どうしても語彙を増やしていかなければなりません。
また、語彙に関する正しい知識を身につけることも必要になってきます。
初級のうちでも、ベトナム語が段々わかってくるようになると、
微妙な言葉の意味の違い、例えば、
Xinh と Đẹp どちらも「きれい」だけど、どう意味が違うのかな、など
ベトナム語の語彙の正しい意味や使い方をさらにもっと深く知りたくなってくるものです。
>>ベトナム語で「きれい」は何と言ったらいい?【Xinh と Đẹp の違い】
さらに、ビジネス文書やニュース記事、本を読んだり、
メールを書いたり、格調高いベトナム語で会話したり、スピーチしたりするのに、
ある程度の語彙が豊富さが求められます。
それでもし、
ベトナム語で「読む・書く」の能力を伸ばしたいなら、ベトナム語の辞書は最強のアイテムになります。
この点についてさらに深堀りしたいと思います。
辞書はコスパ最強のベトナム語の先生
わたしは字が読めるようになった4,5歳の頃、わからない言葉があれば、
「〇〇ってどういう意味?」と
すぐ親に尋ねて教えてもらっていました。
幼い頃は何となくそうやって、語彙を増やしていたような気がします。
さて、ベトナム語の場合、
調べたい単語があるたびにベトナム人に聞くわけにもいきません。
外国人のお相撲さんのように、
ベトナム語を身に着けるためのサバイバルな環境に自分の身を置くことができれば理想ですが、
普通はそういうわけにもいきません。
ベトナム人との国際カップルの方もいらっしゃるかもしれませんが、
やはりネイティブ話者だからといって
母語の細かな説明ができないときもあります。
日本語の見識もまだ浅いので、こちらの知りたい日本語のニュアンスがうまく伝わらないことも多いでしょう。
日本語のできるベトナム人の先生とオンラインレッスンするということもできますが、
先生のレベルもピンきりで、
それに料金も毎回発生するので、何年も何年も続けるわけにはいきません。
それを考えると、
辞書はまさに、自分が知りたい時にいつでもすぐ、言葉の意味を正しく教えてくれる先生のようです。
しかも、辞書は一度手に入れてしまえば、それ以降はもう費用が発生することはありません。
ベトナム語の文章を読んでわからない言葉があった時に、
辞書さえあれば、誰かにいちいち聞かなくても、自分ですぐに意味を確かめることができます。
(もちろん辞書だって完璧なわけではありません)
このような理由で、辞書はコスパ最強の先生だというわけです。
辞書で知らない言葉を調べるときに新しい語彙を覚えていく
単語丸暗記の弊害
外国語を覚えるのに、よく単語帳や単語リストなどとにらめっこして
一生懸命、語彙を丸暗記しようする人がいます。
頻出単語1000語ぐらいまでは、それでもある程度効果は出るかもしれません。
しかし、初級以降も引き続き、
たとえば英語のTOEICなどの検定試験対策として
単語の丸暗記をしようとする方もあるかもしれませんが、
そういう外国語の勉強の仕方はそもそも本質的とは言えません。
なぜなら、
「語彙」は文の流れと切り離して単独で覚えても、なかなか頭に定着していかないから
です。
また、そうやって一生懸命覚えた頻出頻度の少ない単語も、ほとんどの場合、使う機会があまりありません。
そしてなにより、なかなか覚えられません。
そんな無機質の覚える作業が苦痛になってきます。
もう少し、効率の良いアプローチの仕方はないのでしょうか?
単語は文の中で拾って学んでいく
わたしが、これまでのベトナム語学習で効果的だったと感じている方法は
「語彙」は精読をしながら文章の流れの中で、辞書で意味を確認して覚える
というやり方です。
この方法は、ちゃんとした脈絡がある文の流れの中で、新しい単語と出会うため、
その単語が実際にどういった使われ方をしているのか、理解した上で覚えることになります。
そのため、記憶に残りやすく、理解もしやすいです。
この方法で言葉を身につけるには、辞書が必要です。
ある程度、ベトナム語に慣れてきたら、
いろんなネット記事や広告、レストランのメニューや街なかの看板などを見て、(写真に撮って)
「これなんて意味だろう?」
と、能動的に自分から興味をもって調べていくと、言葉が自然に覚えられていきます。
そうやって自主的に調べた単語は、リストに並んだ無機質な単語ではなく、
自分の生活に関わる「生きた」言葉です。
このやり方でどうやって単語を覚えていくのか、
という点については別の記事で深堀りしていますので、そちらをご覧ください。
辞書があれば漢越語も同時に理解できる
ベトナム語の辞書が役立つもうひとつの理由は、
漢越語が理解できる
ということです。
これは、漢越語表記のついた辞書に限られますが、
言葉の意味を調べる時に、単語の漢字表記を知れば、より一層ベトナム語が理解しやすくなります。
ベトナム語の70%近くは、漢字由来の「漢越語」が使われていて、もともと、漢字で表記されていました。
ベトナム語の漢越語表記の例
ベトナム語表記 | 漢越語表記 |
---|---|
chú ý | 注意 |
thái độ | 態度 |
đại học | 大学 |
cảm ơn | 感恩 |
nguy hiểm | 危険 |
thành thực | 誠実 |
thực hiện | 実現 |
hiện đại | 現代 |
từ điển | 辞典 |
わたしたち日本人は、漢字での表記を見れば一瞬で、ベトナム語の熟語の意味や構造が理解でき、より早く覚えられるのです。
上記の例では、あえて日本語の意味は書いていませんが、漢越語表記を見れば意味がすぐおわかりですね?
日本語の中にも現地語である大和言葉と共に多くの漢語が使われていますが、
ベトナム語にも日本語と同じ漢語が多く使われていて、日本語と非常に良く似た読みの語彙もあります。
さらにベトナム語は、中国由来の漢語だけでなく、日本で作られた和製漢語も多く使われています。
わたしの場合、だれに教えられるでもなく、
自分で辞書を引いく過程で、その構造に気づいて、
まるで、メガネを掛けたかのように、
ベトナム語の単語の構造が「見えて」感動したのを今でも覚えています。
漢越語付きの辞書を使うことによって、意味と同時に漢越語も調べられるのです。
これはわたしが辞書を使ってよかったなと思っている大きな理由の一つです。
ベトナム語のうち70%程度は漢越語ですが、残り30%は現地語で、そういう語にいわゆる漢越語の表記はありません。
例: ăn 食べる đi 行く など
わたしが愛用している漢越語表記のある辞書
辞書は中級以上のレベルでいずれ必要になってくる
初級レベルのうちは、テキストやレッスンだけでも必須単語は自然と身についていきます。
初級を一通りやった段階で、おそらく1000語ぐらいは、身についているでしょう。
しかし、そこから先が問題です。
ベトナム語は非常に語彙が豊富な言語で、表現の仕方も言葉の組み合わせ方も無限にあります。
実際にテキストで習うような簡単な表現で話しているベトナム人はほとんどいません。
ベトナムに移住した当初、現地の人と会話していると、わからない、聞き取れない言葉が多く、意味は簡単なのに「そんな言葉はじめてきいたよ」ということの連続でした。
結局、語彙をどれだけ知っているかが勝負の分け目になってくるわけです。
それで、初級を終えた人がベトナム語をさらに伸ばしていくには、
精読して、知らない語彙があれば辞書で調べて、必要な語彙を意図的に増やしていかなければなりません。
- ベトナム語に翻訳された日本の絵本や漫画
- ベトナム語の小説
- ベトナム語のニュースサイト
- ベトナム語の契約書
- ベトナム語の社内メール
中級レベルになっていくと「ああ、やっぱりちゃんとした辞書が要るな」と気づきます。
それならば、
ベトナム語を習い出した最初のときから辞書を手に入れておいたほうが良いに越したことはありません。
【徹底比較】おすすめのベトナム語辞書は?【辞典はコスパ最強の先生である】
ネットやアプリのベトナム語辞書は精度が低く、詳しい説明が得られない
では、アプリやオンラインの辞書はどうなのでしょうか?
実際、すでにベトナム在住の方であれば、日本でしか売っていない本の辞書を買うことは困難です。
本の辞書より、スマホで使えるアプリの辞書の方が需要が高いのが現状です。
では、グーグル辞書などのネットで無料で使えるオンライン辞書や、スマホの辞書アプリはどれほど使えるのでしょうか。
アプリやオンライン辞書は、紙の辞書との併用としては使えるが、精度に欠ける、というのが現状です。
こうしたネット上のオンライン辞書は、
単語の品詞、詳しい説明や、複数の用法、使い方の具体例
までは知ることができません。
特にGoogle辞書の精度は低いです。
一つの言葉に対して、限定的な一つの意味しか出してきません。
しかも、的はずれな翻訳が多いです。
例えば、 cho というベトナム語にはさまざまな用法があって、「与える」「〜に」「させる」など複数の意味がありますが、Google辞書で cho を調べると「〜にとって」というちょっとずれた訳が1つだけ出てきます。
一方「五味版 学習者用ベトナム語辞典」では cho に対して、4ページも割き、7つもの用法のちがいを、例文を交えて詳しく解説しています。
また、アプリの辞書は開発者がベトナム人であることが多く、訳語のチョイスが微妙なのも多く見られ、参考程度にしか使えません。
英語や中国語などメジャーな言語の辞書であれば、ネット上のものだけでも、本の辞書と変わらない十分使えるレベルですが、
ベトナム語に関して言うと、学習者と研究者が少ないためか、
そこまで発展していないのが現状です。
まとめ
ベトナム語はまだまだ勉強する人の少ない言語です。
簡単な会話を覚えるぐらいなら辞書は必要ないですが、
本格的にベトナム語を勉強していきたいのであれば、辞書に投資するのは決して無駄にはならないと思います。
- ベトナム語の読み書きを伸ばしたければ辞書があったほうが良い
- 辞書はコスパ最強のベトナム語の先生である
- 辞書で知らない言葉を調べるときに新しい語彙を覚えていく
- 辞書があれば漢越語も同時にインプットできて語の構造がより一層理解できる
- 辞書は中級以上のレベルでいずれ必要になってくる
わたしも、すいぶん辞書にはお世話になりました。
もし、本気でベトナム語に取り組んでいくつもりであれば、
是非一冊、手元に辞書を置いておかれることをおすすめします。
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